からだよわいねん '95

そしたら、博士から電話がかかってきまして、
「今度『CLUB紳助』に出ることになったんだけど、
 紳助さんの昔の本を持ってたら貸してくれ」ということなんですね。


それで、オレん家の近所のデニーズまで博士が車で来てくれるというので、
ウチの中を捜したんですけれど、
その時点では紳助は、まだそんなに本を出してなかったんですよ。


ぜんぶ集めても、コレぐらいしかなかった。


20110824032349 島田紳助:著『紳助の青春の叫び PART5 大人になる前に書きたかった』レオ企画


20110824044225 紳助・竜介:著『紳助・竜介の ツッパリ魔 反抗の悪知恵』ワニブックス


20100925223817 島田紳助:著『ドキュメンタリー・ノベル 風よ、鈴鹿へ』小学館
 # 島田紳助:著『風よ、鈴鹿へ』小学館ライブラリー


なんか寂しいから、ついでに竜介の本まで持って行った。


ryusuke.jpg 松本竜助:著『ウシロからマエから ヘンタイ光線銃発射!』東都書房:日刊ゲンダイBOOK/講談社【参照】


さすがに博士は、竜介の本は要らないと言う。そりゃそうだ。


他も、ワニの本とかは、たぶん必要ない。
『風よ、鈴鹿へ』は持ってる。文庫になってたのは知らなかったけど。
ぜひ欲しいのは『紳助の青春の叫び』だ。
まあ、じゃあ、せっかくだからワニの本と、『風よ、鈴鹿へ』の文庫と併せて、
この3冊を借りて行きます、ということになった。


で、その博士に貸した本というのは、いつまでも返ってこなかったんですね。


ずいぶん経って、
中野の早稲田通りのブックオフで博士にバッタリ会った時だったか、
高円寺の北口でトッポ・ライポはじめ後輩たちを引き連れてロケしてた博士にバッタリ会った時だったか、
その話になりまして、
博士が言うには、『CLUB紳助』の本番前に楽屋へ挨拶に行って、
(そりゃそうだ!)
本を見せたら「オマエそんなもん、よう持ってるな」と喜んで、
「サインしたる」と言われて、水道橋の名前入りでサインを書かれてしまった。
なので、石川さんに返すに返せなくなっちゃって、すいません。


「え〜〜〜〜〜〜っ!?」
オレはビックリ仰天しましたよ!


「いや、ホント悪い、この埋め合わせは何かでするから」


いえいえ、そうじゃなくて、
オレが驚いたのは、博士の責任とか、そういうことじゃなくて、
紳助の前に『紳助の青春の叫び』を持っていくと、
紳助は喜んでサインする、という、その事実だったのだ。


ややこしい話になるから、その場では博士にも説明しないまま別れたけど、
ここで今こそ説明します。


『紳助の青春の叫び』は、1980年に紳助が一人で書いた自叙伝です。


で、「あとがき」だけを竜介が書いています。


そこで竜介は、非常にイイことを書いているんですよ。
原文は忘れたけど…


  今は漫才ブームで、みんな漫才師が本を出している。
  でも、そういう本と、この本は違う。
  紳助の、ホンマの心の叫びや。
  そのへんのタレント本、アイドルグッズなんかと一緒にするな。
  この本を持ってきて、気軽にサインなんか頼むなよ。
  絶対アカンで。
  紳助も、そんなことはしたくないはずや。(大意)


紳・竜ファンの大部分を占めていた若い女性ミーハーファンに向かって、
そう言って竜介は訴えていたんですね。


ところが、当の紳助は、
『紳助の青春の叫び』を持ってこられると
望まれてなかろうが自分から喜んでサインしちゃうんだよ!


(もちろん博士は、借り物の本だからサインなんか望んでなかった。
 だけど、もちろん断わるわけにはいかなかった。そりゃそうだ。)


つまり、竜介の意志は完全に踏みにじられていたわけです!


そのことに、オレは「うわあ…。」と思った、という顛末。