「ナイスデニール!」

覚えたばかりの流行語は、
早速に使いたい!


20101230052153 都筑道夫:著『犯罪見本市』集英社文庫
第一会場「影が大きい」
第二会場「札束がそこにあるから」
第三会場「隣りは隣り」
第四会場「森の石松」(【参照】
解説/長谷邦夫


第1話『影が大きい』に、早くも発見!


   しかし、そのベッドから人間の足が出てきては、ほうっておけない。足はすんなりとかたちよ
  くのびて、ナイロンの靴下をはいている。二重になった爪さきに、ペディキュアのルビイいろが、
  透けて見える。女の足だ。
   新吉は目をまるくした。靴下のおわったところからは、白い皮膚がはじまっている。皮膚の面
  積は、だんだん大きくなって──襖のかげに隠れていた。


ナイスデニール


第2話『札束がそこにあるから』にも、こんな描写が出てきます。


   多美子は押しつぶされたような声でいって、足をばたつかせた。長い白い足が、たるんだスト
  ッキングを人魚の尾びれのようにふって、薄暗い中におどった。


ナイスデニール


その他にも、短篇集の全体に、
犯罪小説を彩る小粋な小道具として、
戦後に強くなったというナイロンストッキングが、やたらと登場するんですよ。
殺人の兇器に、窃盗の秘密兵器にと大活躍。


都筑道夫先生、
ホントにナイスなデニールが好きだったんだなー。